第1回守政会 青年部政治・経済勉強会
【日時】2005年3月3日(木)18:00〜21:30 【場所】高岡商工ビル501号室
渡辺守人県議会議員 県政活動報告
テーマ「成熟社会と改革の中での政治」(1年10ヶ月を振り返り)
 
●政治の世界への第一歩
 私は、2年半前、地元の連合自治会長に押されまして父の後を継いで政治の世界へ足を入れました。祖父も父も県会議員でして、私は3代続いた県会議員になったわけです。
 この世界に入って最初に感じたのは、政治の世界は、1+1が2になる世界ではなく、−10になったり、+20になるということです。正論でもマイナスになることがあります。このへんが政治の醍醐味でもあるわけです。
また、私は自分のことを感性の政治家だと思っています。政治は、特にセンスの問題が問われますが、センスがあれば、押えどころがわかるわけです。それが感性からくるのか、本能的なことからくるのか、血がそうさせるのかわかりませんが、皆さんの経済活動とは違う特殊な政界だと思っています。
 
●決して忘れてはいけない経営者の視点
 本日お集まりの方もほとんどが中小企業の経営者の方々ですが、やはり経営の視点を持って収支のことがわかっていないと金銭感覚が麻痺してしまうと思っています。
今から約17年前、昭和63年当時、ときの宮沢大蔵大臣とお話をする機会があり、経済が基本であるとお聞きしました。以来、この経営の視点だけは忘れることなく、やっていきたいと思っています。そして、今の一年生議員の中でも2足のわらじで政治を行なっている方は少なく、ほとんどが職業政治家です。私は経営者という立場もあり、そういう意味では幅の広さだけは負けないと思っています。
 
●21世紀はボランティアの時代
 現在、NPO、NGOなどいろいろな団体が活躍をされています。戦後60年が経ち、成熟型社会となり、物のない時代から物が溢れる時代に変わり、そして人の時代へとシフトされました。つまり、人々は「私は、どんな役に立てるのか」と考えるようになってきているということではないでしょうか。そういうことからも、21世紀はボランティアの時代になってくると思っています。
 私もNPOの方々とも話をする機会が多くあります。政治家としていろいろな話は参考になるのですが、絶えず現実的なことや収支のことが頭から離れないのです。そういった視点でNPOの方々とも接点を持ちながら、いろんな諸問題について意見の交換をさせてもらっています。
 
●安全・安心が全ての基本
 常任委員会は6つありますが、私は、安全・安心、そして教育が全ての基本であるとの思いから、教育警務常任委員会に所属し、副委員長をさせていただいています。
 この1年10ヶ月の間に、先輩議員のご努力と支援もあり運転免許更新センターを高岡に設置することができました。ここまで来るのに25年かかっているわけで、私はたまたま最後の仕上げをさせていただいたと思っています。
 警務で勉強をしていて治安が非常に悪いということがわかりました。犯罪の認知件数が平成6年を100として、昨年ですと160%ほどに街頭犯罪や外国人犯罪が増えてきています。犯罪の総量抑制についても昨年2月の一般質問で全ての事例を挙げて質問させていただきました。その中で、小さな犯罪であっても一つ一つ確実に芽を摘んでいくことからという、ジョージ・ケリング博士の「割れ窓理論」を使って、ニューヨーク市のジュリアーニ前市長が実施したことについて話をしました。それは、5,000人の警官を増員してニューヨークを世界一治安の悪い都市から世界一治安のいい都市になったというものです。日本の場合は、全国でも3年間で1,500名の増員、富山県の場合は、毎年20名づつの増員となっています。20名ということは、高岡警察署にはせいぜい一人くらいの増員になると思います。
 そういった現状の中で、いよいよ4月1日より、富山県安全なまちづくり条例が施行されることになりました。これは、いろいろな治安を守る団体が連携して、県民総ぐるみで子どもたちや全ての地域の安全、防犯などに取り組んでいくという条例です。
 政務調査会では、福祉環境部会に所属しています。これは少子化問題や介護保険の問題、看護師さんの問題など幅広い部会です。実際に関係各所へ視察に行ったり、福祉関係者から生の声を聞く機会もありました。パーキンソン病という病気に関わっているグループと接触する機会があり、パーキンソン病以外にも難病はいろいろあるのですが、そういったグループの人たちのために、昨年、予算を700万円付けていただき、難病支援センターを設立させていただきました。
 
●今後の県政について
 戦後、日本全体が貧しかった頃は、中央集権的な国家で、画一的なサービスをして日本全土を均衡な形にしてきました。その時代には、中央集権はいい制度だったと思いますが、今は地方分権の時代になってきています。一番遅れているのが官から民へということです。特に経営者の視点で言うと民間委託という面が行政では遅れていると思います。そして市町村合併の問題や行財政改革等の問題も出てくるわけです。本来なら国に入る歳入が3、仕事量が2、比べて県に入る歳入が2に対して仕事量が3ある。これを地方分権に合わせて、自主財源を保とうということで、ひっくり返そうというのが本来の三位一体の改革だったのですが、財務省がそれに合わせて、補助金等をカットしてきたために、富山県でも260億円の赤字を抱えているわけです。これは、今年だけでなく来年以降も財源不足になってきます。これらは構造的な問題で、補助金が削られれば各都道府県がこうなることは目に見えているわけです。そのような現状に対して、県職員と議員の賃金カットなど、人員の定数管理にもメスが入りました。財政が厳しくなってきているため、これまで予算がついていたものが、なかなかつかなくなってきているのが実情です。ただ行政も義理も人情もありますので、一所懸命にやっているところには、陳情に行けば予算等もつけていただけるのではないかと思います。
 そして、新幹線も見えてきました。県も82億の予算をつけており、平成26年までには間違いなく金沢の車両基地までは全線開通になります。早ければその前につくのではないかと思っています。そして、新幹線が優先されることで他の公共事業は少し、抑えられると思っています。
 そんな中で、今日も石井知事にとって初めての予算を決める議会が始まりました。石井知事は、ベンチャー企業の育成やIT、バイオ、深層水等にはかなりの予算をつけ、明らかに新しい産業の創造に力をいれておられます。また、面白いのは、石井知事は旧自治省、現在の総務省時代に地方創造財団をつくっておられます。地域の文化を育てるシステムを作ったということは、金の流れも作ったのではないか。そうなると例えば、利賀の演劇祭などは、その財団から金が流れてきていると想像しています。そういった面では、石井知事は文化が好きな方で、高岡の文化と歴史を持っていけば非常にいいものが出てくるんじゃないかと思っています。
 今後の県政は市町村合併もあります。現在35市町村あるのがたぶん来年3月には、15くらいの数になると思います。全国に3,200ほどの市町村が1,000くらいに納まると思っています。道州制の話はもっと難しい問題が出てきますので、ちょっと先の話になりますが、市町村合併の話はどんどん進んでいくと思っています。
福岡町と高岡市は、間違いなく11月1日には、合併をすることになります。この後、高岡がやらなければいけないのは、やはり氷見市との合併だと思います。氷見市も財源的には厳しい状況ですので、氷見市にも合併の話を持っていって、なんとか中核市に持っていきたいと思っています。
 合わせて新幹線駅の問題ですが、高岡はすでに昭和の代に分離駅ということが決まりまして、当初の予定地より少し西へと移動し、城端線の新駅の近くに持っていくのではと思っています。この10年間の間に現駅、新駅、城端線の新駅と3つの駅をつくらなければいけないのですが、これをきっちりとやっていかなければいけないと思っています。
 今、一番の問題は、財政の問題です。かといって、金がないから何もしないというわけにも行きません。予算書を見ていて知事もお金の手当には随分と苦労をされたと思います。私も2月議会では予算特別委員会で質問をするわけですが、行財政改革は、企業に置き換えた場合どうなのかという解りやすい質問をしたいと思っています。改革の最大の敵は無関心です。「前例がありません」、「縦割り行政であります」、では、改革はできないわけでございます。知事は知事直轄の政策室も作られました。これはスピード重視の県政。また、横断的に物事を進めていくということです。これらも私共がいる企業の世界ともオーバーラップしてきたので、これらの話もいろいろと質問したいと思っています。
 今後、新幹線もできる、東海北陸自動車道も2年以内には完成する、富山空港には3つの国際線、そして、まだどうなるかわかりませんが、上海便の話も出てきます。伏木富山港に行きますと旅客船バースもできているわけで、ここ10年以内に高岡は大きく変っていくと思います。また、それに乗っていかなければ、取り残されたまちになると思いますので、さらに一所懸命にやっていきたいと思います。また、皆様の知恵や情報をいただいて県に反映させていきたいと思っていますので、どうかよろしくお願いします。どうもありがとうございました。